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み ん な の c a w a i i 日 記

「 毎 日 に 感 動 や 喜 び や 幸 せ を 」 み ん な と c a w a i i で つ く る そ ん な 日 々 の 記 録

【スタッフコラム】自分の目で見ること、他人の目で見ること

先日、ちょっと足をのばして大阪の南にある堺市に行ってきました。
堺市といえば茶人の千利休歌人与謝野晶子、百舌鳥の古墳群が有名ですよね。
降りた駅のすぐ横に、日本最大の仁徳天皇陵の古墳があったのには驚きでした。実物を見るのはこれが初めてです。とにかく大きくて木々がこんもりとしているので、広い公園かお城があるのかな?といった感じ。でも、「宮内庁管轄」という立て看板を見ると、昔の天皇のお墓なんだなと実感が湧いてきました。仁徳天皇陵は全長約486mの前方後円墳で今から約1500年前に作られ、あのエジプトのクフ王のピラミッド、それから兵馬俑始皇帝陵と並ぶ世界3大墳墓とされているものです(※堺観光ガイドより)。小学生の時に教科書で習った史実が突如、目の前に現れるってとても不思議な体験でした。

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駅の横にあるこんもりとした森。仁徳天皇陵の古墳です

 

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大きな古墳の周囲をてくてく歩いていきます。のどかな風景が広がりますが周囲は住宅街です

 

堺市まで行った目的はある華道家の展覧会を見るため。花道みささぎ流の家元-片桐功敦さんは、東日本大震災から約2年のち福島県に一時期滞在、その間爪痕が深く残るがれきだらけの土地を歩き続けそこに咲く花を手折り、長靴、バケツ、ランドセル、イス、トラック、動物の骨など津波の後に残された遺物さまざまなものに花を活け続けました。

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海岸に活けられた花

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場所は小学校。置き去りにされたランドセル

 

その活けられた花の写真をたまたま見たのが片桐さんを知るきっかけでした。日常が根こそぎもぎ取られたあの土地を歩き回り花を探し、かつてそこに住んでいた人たちが使っていたものを拾い上げていく、想像するだけで胸が張り裂けるような体験です。花が活けられた写真はまるで魂の弔いのようにも見えました。

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花器は餓死した牛の骨

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花器は津波に流されたトラック

 

展覧会のテーマは「白い祈り/黒い原罪」。ちょっと重たい内容ですが...。
会場となる二間の和室には、大きな作品や小さな作品がいくつか展示されていました。そのうち一番大きな展示物、真っ黒な大きなビニールのフレコンバッグからは百花繚乱、天井まで狂ったように花が咲き乱れていました。黒いフレコンバッグは汚染土をイメージしたものだそうです。

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会場風景。床の間には福島で拾ってきた石。まっぷたつに割れている。

 

閉じ込めても押し込めても生命は芽吹き、どんなに汚されても花は咲き誇り、その生命力に圧倒されてしまいそうでした。そして、同時に当たり前に過ごしている日々が、実は凄まじいほどのエネルギーにあふれた生の営みだったことを改めて思い知らされました。最近、命にや生きることを「考える」機会はあっても、「感じる」ことはあまりなかったです。帰り道、道端に咲く小さな花が愛おしくてたまりませんでした。

 

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フレコンバッグから芽吹いた花々が狂い咲きしているよう

 

片桐さんはこの展覧会を開くにあたって、次のように書かれています。


- ずっと考えていたこと。
黒い袋に詰められた放射能に汚染されたといわれる土。でも土は次の命を育むことをやめようとはしない。それは命の循環の中にはプログラムされてはいないこと。閉じ込められた土から、突如、逆襲のように植物が溢れ咲き出したらどうだろう?
そんな風に思いいけた花です。-

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福島で拾ってきた鍋も展示されていた

 

6年前、福島県で起こったことは、私の中では正直現実感が薄れていってました。けれど、華道家の片桐さんの視線を通して改めて福島のこと、そこで起こったことを考えさせられました。他人の視点を通して得られたものです。

そして、仁徳天皇陵の古墳は、実際に自分の目で見ることで、そこで千年以上前にその土地で起こったことに思いを馳せることができました。
こんなちょっとした小さなことが毎日を豊かにしてくれるんだろうな、そんなふうに思えた時間でした。

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道端に咲いていた小さな花

 

スタッフ AKI